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「できたこと」から立ち上がる力へ。

須山中学校が目指す
レジリエンス教育

裾野市立須山中学校 校長

清水 達夫 先生

「できたこと」から、立ち上がる力へ。

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素直であたたかな子どもたちだからこそ、失敗しても立ち上がる力を育てたい。裾野市立須山中学校では、「できたことノート」とアゲアゲタイムを学校のグランドデザインに位置づけ、自己肯定感とレジリエンスの向上に取り組んでいます。地域に開かれた学びや校内放送「アゲピカラジオ」など、先生と生徒が共につくる実践について伺いました。

(インタビュー日:2026年6月22日)

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永谷

須山中学では、

グランドデザインにできたことノートやアゲアゲタイムを入れています。

今、清水先生が、子どもたちを見るときに

課題だなと感じられる点を教えてください。 

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清水校長

はい、1年前、自分がここに赴任した時に、

やはり自己肯定感の低さという課題を引き継いでおりました。

実際そういうことを感じる場面がありました。

1年前のグランドデザインの中では、

3つのCというのを掲げていました。

チャレンジ、コミュニケーション、コンフィデンス。

 

自己肯定感が低い子供たちに自信をつけさせたいということで

コンフィデンスというキーワードを入れていたんです。 

1年間取り組んでいる中で少しずつ子どもたちの

自己肯定感が上がってきている感じはありました。

実際、学校評価でアンケートを取っても

いろんな数値が上がっていました。

永谷

成果が出てきてきたんですね。

清水校長

はい。そこでもっと取り組みたいという思いで、

前任校の御殿場南中でもお世話になっていた永谷先生に来ていただいて

ぜひ須山中でも導入したいと考え、今年度グランドデザインに入れました。

永谷

この地域の子どもたちが

自己肯定感が低いとなっている原因はどこにあると思われますか?

清水校長

私が言うのもなんですが、

この地域の子供たちは、本当にいい子たちで、

かわいらしくて素直な子たちばかりです。 

 

ただ、人数が少ないので、

この表現が合っているかどうかわからないんですが、

みんなで、かわいがりすぎているというのは

あるかもしれないなというのは感じています。 

だからこそ、

自分としてはたくましさを身につけてほしいと思います。 

それを考えた時に、

この「できたことノート」は絶対ハマるだろうなと思いました。 

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永谷

なるほど。

素直でいい子たちだからこそ、たくましさが欲しいんですね。

清水校長

そうなんです。

実は、昨年度の夏前に市の養護教諭部で、

レジリエンスのアンケートを市内の小中学校全体で取ったんです。 

そうしたらうちの学校が中学校の中でダントツで低かったんです。 

 

もしかしたら、失敗したりつまずいたりした時に立ち上がる力が、

うちの学校の子たちにはちょっと欠けているかもしれない、

と思いました。

それは大事にされすぎているというのが

もしかしたらあるのかもしれないなと。 

もちろん、それがこの地域の良さでもあります。

永谷

家族や地域の人に大事にされているんですね。

また学校も小さいので誰でも顔が見えますしね。

先生たちもまるで家族みたいに

親身になって取り組んでいる姿が見えます。

だからこそレジリエンスを育んでいきたいということですね。

清水校長

はい。

失敗したりしても立ち上がる立ち直る、次もう一回頑張ろうとする、

そういう人間になって育ってほしいなとすごく思います。 

永谷

まさに生きる力ですね。 

ところで先ほど、

「できたことノート」がハマると感じたとおっしゃいましたが、

どのあたりが効果がでるだろうと感じられたんですか? 

清水校長

まず、素直に自分のできたことに見つめていくということですね。

まずは肯定的な自己認知がベースだと思っています。

そして対人関係には、

永谷さんに教えてもらった「アゲアゲワーク」です。

小さい学校なので、

自分のできたことを見つけた上で周りと関わっていけば

それがどんどん良い形になって

自己肯定感を上げることができるでしょう。

結果的にレジリエンスを上げることをねらいとしています。

永谷

できたことメソッドがそのまま効果的に活用できているんですね。

その他、うまくいった原因はありますか?

清水校長

なによりだったのが、養護の山﨑咲良先生です。

彼女に私ができたことノートを紹介すると

山﨑先生が「これをやってみたい!」と言ってすぐに動いてくれて。

永谷

<校長インタビュー同席していた山﨑先生にも

お話を聞くことになりました>

 

山﨑先生、お聞きしていいですか? 

先生はこれやりたいと思われたツボはどこにあったんですか? 

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山﨑先生

本が苦手な私でも書籍「できたことノート」一気に読めちゃって。(笑)

永谷さんのYouTubeチャンネルなどでも情報を得ました。

そこで、「すごい興味があるし私でもできる!」って思いました。

そして、保健委員の生徒たちにも話したら「やろう!」っことになり、

3年生で先行していたことを1、2年生にも普及していこうと

生徒たちと一緒になって推進したんです。

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永谷

とても嬉しいです。本書いてよかったです。(笑)

 

先日、講演会を生徒たちにさせていただきましたが、

校長先生から見て、子どもたちの印象や反応はどうでしたか? 

清水校長

子どもたちは本当にイキイキしていました。

永谷さんのレクチャーをしっかり受け止めて

ワークしている姿を感心して見ていました。

 

実は、事後アンケートに気になる感想がいくつかありました

その中に

「小学校の時に自己肯定感を高めろと言わて、実はきつかった。」

​とありました。

永谷

生徒たちから、
『自己肯定感は高いから○、低いから×ではない。
低くてもいい。
誰でも低くなるときがある。でもそれに気づくことが大事』

と教えてもらってすごく楽になった。

と聞きました。

確かに、自己肯定感を上げよう!って言われるのってキツイですよね。

なんか責められてる感じがして。

清水校長

そうですね。やっぱり基本的に真面目な子が多いからかもしれません。 

永谷先生にそう言っていただいて、

「救われた」「肩が張っていたのが、力が抜けた」

という子がいるっていうのは事実です。

永谷

先ほど1年生のできたことノート見させてもらったら、

「○○をがんばった」というのが多かったですね。 

今までもすごい頑張ってきたんだな。とちょっと心にきましたね。

「もっと小さいことでもできたことなんだよ」

って伝えたくなりました。

小学校時代から子どもたちなりに気を張ってたんですね。

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清水校長

自然体な姿だっていいんだよって伝えていきたいですね。

永谷

そうですね。
ところで、本日2回目の教員研修をやらせてもらいました。

今日は子どもたちへのフィードバックについて

先生の意見も聞きながら学び合いました。

このような先生のスキル育成に関しては

どういうご見解でいらっしゃいますか。

清水校長

今までの学校って研究授業や授業の研修は多かったと思います。

私はこれからの学校は、こういう研修、

要するにその授業以外のところで、 

子どもたちとどう関わるかということを

学ぶ必要があると感じています。

永谷先生から行動科学や認知心理学に基づいたことを学ぶことは

ものすごく大事だなって思っています。

永谷

ありがとうございます。

確かに、研究会でも科目の授業研究は活発ですが非認知に関するもの
は少ない印象ですね。
先生方もこういう非認知能力を勉強する場が

なかなかないとおっしゃっていました。

 

今、静岡県では「静岡県版SEL」って言葉が入ってたりして、

非認知能力が大事という機運が高まっていますが

先生が非認知能力大事だとおっしゃるのは

どのような考えからなんですか?

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清水校長

はい。今年からこの須山中に来て嬉しかったことがあります。

この学校にはたくさんの行事が残っていて、その行事を通して、

またその前の準備や練習を通して成長していく子どもの姿を見て、

改めて行事など活動の時間って大事だなと確信しました。

実は、非認知能力が大事だということをここ何年か目にするようになって、自分も書籍などで勉強してきましたが、

その本で学んだ内容と、須山中の行事で成長する子どもたちの姿が

繋がった感覚がものすごく活きています。

永谷

学校行事などの活動、いわゆる特別活動ですね

 

<特別活動とは:国語数学などの一般教科とは異なり、集団の中で自主性や協調生を育む活動のこと。主にこの4つに分類される。

学校行事(修学旅行、運動会、卒業式など)、学級活動(ホームルーム、クラス話し合い活動など)、生徒会活動(生徒が行う自治的な活動)、クラブ活動(部活動など)

清水校長

はい。そうです。

一般的に言われる特別活動の他に

この須山中には特徴的な活動がいろいろあります。

例えば最近で言いますと、

先週3年生の「決意表明式」をやったばかりです。

昔は、中体連に向けての走行会や激励会がありましたね。

応援団と応援練習を昼休み何回もしていました。 

今それをやってる学校は少なくなってきたと思いますが。

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永谷

なるほど。南中にも和太鼓がありましたね。

町あげてっていうのもね、 地域の方が応援してるのも特徴ですかね。

この辺り、地域の方はどう学校教育に関わってるんですか?

清水校長

はい。

この須山地区はものすごいたくさんの

地域の方が関わってくださっています。 

例えば、1年生は文化祭に向けて、

篠笛(しのぶえ)の練習をするんですが、 

地域の保存会の方が毎週のように指導に来てくださっています。

永谷

へえ。 子供たちが伝統芸能の篠笛を。

いいですね。 部活や音楽の時間ですか?

清水校長

時間は総合的な学習の時間でやっています。

1年生が毎週練習して、

文化祭で地域の方と一緒に演奏することをやっています。 

永谷

素晴らしいですね。

地域の文化も継承する開かれた学校なんですね。

清水校長

そうですね。

それ以外にも、

1年生は秋にフィールドワークを須山地区内にするんですが

それも地域の方に案内していただいて 神社とかお寺とか回っています。

 

実は須山は芝生の生産が産業なんです。

芝生のお話も地域の人から聞いたり、

須山うどんが名物で美味しいんですが

須山うどんのお家に行かせてもらって、そこでお話も聞いています。

 

また、お茶摘み体験があったり、 煎茶、抹茶、

お花の体験も地域の方に来ていただいています。

その他にも俳句を読む会、句会をやっているんですが、 

地域の方にも来ていただいて、お気に入りの俳句も選んでいただいて、どの俳句のどの言葉がいいとかっていうのを、

地域の方も一緒に語り合っています。

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永谷

とてもいいですね。

生徒たちにとって素晴らしい時間になりますね。

しかも様々な能力が身につくでしょうし、理想の地域教育ですね。

ほんとこういう学校を目指したいですね。

清水校長

そうですね、教職員も理解してやってくれています。

これからの学校のあり方がそういう風になってくるんでしょうね。

永谷

地域の人に開かれた学校っていいですね。

来年の私の講演会では、

保護者の方のみならず地域の方も来てもらったらどうでしょう。

清水校長

呼んでもいいんですか?

それはとても嬉しいです。

ホームページや地域の人へのお知らせチラシに入れたいと思います

永谷

ぜひぜひ!

「できてる講演会」の学習会は、

生徒と保護者と地域の人が一緒に学び合う

お祭りイベントにしましょう!

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永谷

最後に質問ですが、

今後のできたことノート活動はどのように進めていく予定ですか?

清水校長

できたことを書いて肯定的自己認知を上げていき、

対人関係としてアゲアゲタイムを活用するという

ホームルーム活動は続けていきます。

 

さらにこれからは「質」を上げていきたいと思っています。

いずれは子どもたちが自走できるようにやっていけたらと思います。

永谷

いずれは子どもたちが自走するために

「質」を上げていくということですね。

この「質」とは何かをもう少し教えてください。

清水校長

はい。それは「思考力」です。

できたことノートは、できたことを貯めて、

そして肯定的なマインドを作った後、思考しながら内省して、

その上で行動変容をしていくというメソッドになっていますが、

この思考力がレジリエンスの向上のために必要な力と思っています。

永谷

思考力がレジリエンスに影響を及ぼすということですか?

清水校長

はい、そうです。

例えば、「諦めない」というのも、別の言葉で表現するとしたら、

「考え続けること」だと思うんですよね。

諦めるというのは思考停止の状態、もういいやと。 

そういう意味でも、自分の頭で考えるということは

ものすごく大事なことだと思っています。

永谷

考える、それが諦めない、継続できる、

結果的にレジデンス向上にも繋がってくるってことなんですね。

清水校長

はい。

できたことノートの右のページは内省のところが、

ツボになっていると思っています。

要は誰かに向かって書いているんじゃなくて、

自分の心に向かって書く文章。 

この思考力の育成がこれからの非認知能力の育成に

つながってくるかなと思います。

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永谷

なるほど。

これからも先生方がご指導されていく中で、

子どもたちがどんどんレベルアップしていくと思います。

これからとても楽しみですね!

最後に、養護の山﨑先生に聞いていいですか?

保健委員会でやる活動の中でなんと昼休みに

校内放送「校内できてるラジオ!」を始めたと聞きました。

山﨑先生

そうなんです。

保健委員会の生徒たちが中心となって

各クラスから集めたできたことノートから匿名で、

できたことを紹介してコメントするっていう放送を行っています。

名前は「アゲピカラジオ!」っていう名前にしました。

永谷

アゲピカラジオ!

いいですね。

山﨑先生

3年生の保健委員会の生徒たちのネーミングなんですよ。

全員分のノートを集めて、

これナンバーのメガネだよね、じゃあこれ紹介しよう。 

これハッピーだね、紹介しよう。といった具合です。

それこそ中学生は名前は恥ずかしいので、ペンネームで紹介しています。 選ばれしできたことをクラスで3人ずつぐらい読み上げています。

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永谷

校内放送で、「できてるできてる!ラジオ」するんですね。

楽しそうな活動ですね。

山﨑先生

はい。生徒たちが運営している楽しい活動です。
このような活動で、自然に子どもたちの気持ちが盛り上がって、 

なおかつ自己肯定感も上がって、学校が明るくなっていくこと。

また、教員間でも、子どもたちのいい情報、

プラスの情報を どんどん共有していくようになること。

それが高まっていけば、 勝手にいい学校になるんだろうな。

子どもたちが楽しいって思える学校になっていくと思います。

永谷

先生と生徒で作り上げていく学校の未来の姿ですね。

今後の須山中学に目が離せませんね。

ますます楽しみです。

 

清水校長先生、山﨑先生、本日はありがとうございました。

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